NYへの出展、その裏側。焦りと失敗と、やり直し。
ニューヨークのギャラリーで開催される展覧会への参加が決まった。
審査のある公募展ではなく、参加型の展覧会。
心は、ドキドキとわくわくでいっぱいだった。
作品を送り出すまでには、想定以上の作業が待っていた。
今回の作品は布を素材に選んだ。そこからがスタートだった。
水通し、ジェッソの濃度チェック、ジェッソの塗装、布の裁断、
実際に墨を落としたときの広がりの確認、アイロンがけ、そして作品を吊るすための金具取り付け。
しかも工程ごとに一日の乾燥時間が必要だった。水通しのあと一日、ジェッソを塗ったあと一日、
作品を書いたあとも一日。気がつけば日数はどんどん積み重なっていく。
さらに初めての海外発送。何日かかるのか、無事届くのか。わからないことだらけで、余裕を持って動かなければならなかった。
そんな慌ただしい日々の中、まずは作品を無事に発送した。
ほっとしたのも束の間、次はリーフレットの制作に取り掛かった。「せっかくだから、ちゃんとしたものを作りたい」そう思って、急いでデザインして発注した。
届いた。

…あれ?
手に取った瞬間、気づいた。これはチラシだ。両面印刷のチラシ。注文したかったのは、ページをめくれる冊子だったのに。
折ってみた。並び替えてみた。なんとかならないか、あれこれ試した。
ボツ・・・。
冷静に考えたら、どう頑張ってもチラシは冊子にならない。思わず笑ってしまった。
そして再度発注しなおし、届いた冊子を手に取ったとき、「これだ」と思った。

ページをめくるたびに、作品への想いがちゃんと伝わる気がした。
…でも待って。
改めて冊子を手に取って気づいた。
日本の本は右から左に開く。英語の本は左から右。私が発注したのは、国語の教科書と同じ右開きだ。
ニューヨークのギャラリーで、これは正しいのか?
少し考えた。
いや、これでいい。
私は日本人のアーティストだ。右から左に開く冊子も、私らしさのひとつ。そう思うことにした。
作品はすでにニューヨークに到着済み(郵便追跡で確認!)。冊子も2日前に郵送して、今ごろ太平洋の上を飛んでいるはず。
作品と冊子が無事にギャラリーで出会えることを、ここ日本から祈っている。
ART INCUBATION SERIES 26
2026年7月22日〜26日
Gallery 60 NYC
